今回の話は以下の通りになります。
1:個人投資家の債券運用の考え方
2:格付けによる利回りの差
3:ノックイン債の仕組み
4:EB債の仕組み
5:新株予約権付社債
1:個人投資家の債券運用の考え方
債券は毎日売買され、価格は変動しています。日本国債は一番高い利回りで1990年頃に8%、米国債に関しては1982年頃に16%の金利がありました。基本的に、個人が債券を買うときは、1990年の時点で10年国債を購入していたら、年間8%の金利を10年間もらうことが出来たということになります。なので、債券運用に関して、金利が高い時は10年債など長期の債券で運用を行い、金利が低い時には1年債など短期の債券で運用して、金利が上がるものを待つことが基本的な個人投資家の考え方となります。
2020年7月時点での日本国債は、1年債で-0.173%、10年債で0.018%、40年債であっても0.585%となり、10年債を100万円買っても180円しかもらえないということになります。なので、このような状況下では短期で運用することを考えるのですが、普通の国債は買えない判断になります。
2:格付けによる利回りの差
では、国債ではなく、社債を買うと、国債よりもデフォルトリスクが高くなるため国債よりも金利が高くなります。これは、R&Iという格付会社が債券発行体の事業収益や資金流入の大きさや安定性などの要因の分析と評価を元に格付を付与していきます。その格付を目安に発行体の格付別に債券スプレッドが与えられ、それはAAA,AA+,AAAA-,A+,A,A-,BBB+,BBB,BBB-の段階に分かれます。スプレッドとは基準金利にプレスされる金利のことです。一般的に格付の高い発行体は低い発行体よりも返済能力が高く貸し倒れリスクも低いとされ、債券スプレッドは低めとなります。返済能力の差は発行体の事業収益や資金流入の大きさや安定性などにも左右されます。さらに、債券スプレッドは同じ発行体でも債券の残存年数によって基準金利も変われば上乗せ金利も変わり、長くなるとデフォルトリスクが高まるので、必ず期間が長い方が金利も高くなる傾向があります。
まとめてみると、以下の通りになります。
債券利回り=基準金利+債券スプレッド
・基準金利:購入する債券の年限と同じ日本国債の金利が基準金利
・債券スプレッド:年限によって変わる。
→格付けが下がればスプレッドが上昇する。
→年数が長くなればスプレッドが上昇する。
2019年度初めに信用格付が付与されていた日本企業にデフォルトは発生しませんでした。BBB格以上の年間デフォルト率は10年度以降10年連続して0%であり、デフォルトが発生しにくい状況が続いています。